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ハマる人が続出の「クラフトコーラ」。個性あふれる味わいを堪能するための最新ガイド


ハマる人が続出の「クラフトコーラ」。個性あふれる味わいを堪能するための最新ガイド


こだわりの原料やスパイス、健康志向やおしゃれなラベルなど、各メーカーの努力と個性が光る飲み物「クラフトコーラ」ですが、これまで一部の「マニア」を除いてあまり知られていませんでした。風向きが変わったのは、ここ数年のこと。

人気TV番組『マツコの知らない世界』などをきっかけに話題となり、クラフトコーラ・ブームともいえる時代が到来しています。本記事では、クラフトコーラの黎明期からその魅力を伝え続けてきた空水りょーすけさんに、いまおすすめのクラフトコーラとその楽しみ方をお伺いしました。


[お話を聞いた人]

空水りょーすけさん

「コーラ倶楽部」管理人
「Cola-Fan」編集長
国際クラフトコーラ連盟 副理事長
空水りょーすけさん

これまで10年以上にわたって数多のコーラを飲んできたコーラマニア。自らが企画・運営するコーラ専門のWEBサイトやメディアを通じて、さまざまな情報を発信しています。


 

コーラのイメージが変わった
『マツコの知らない世界』で人気爆発

「これまでコーラが趣味だというと、大人なのになぜそんなものが好きなの?といった反応をされることがほとんどでした。最近では、それが変わってきていると感じています」。

ほがらかにそう話すのは、空水りょーすけさん。前回の記事でもお伝えしたように、会社員のかたわらコーラ専門のWEBサイト「コーラ倶楽部」管理人と、WEBメディア「Cola Fan」編集長兼ライターを務める空水さんは、これまで1,000種類以上にも及ぶコーラを飲んできました(前回取材時の600種類からさらに増えました)。

一般的には「コカ・コーラ」や「ペプシコーラ」など、大手飲料メーカーが販売する大量生産型ドリンクのイメージが強いコーラですが、ここに来て、本物志向の“クラフトコーラ”が注目されています。

クラフトコーラ製造風景

▲小規模な作り手によるクラフトコーラは、原料や製法も個性豊か。写真左:ツチヤコーラの製造風景、写真右:Moto Colaの製造風景

「大きな転機となったのは、2022年4月に出演した人気TV番組『マツコの知らない世界』です。放送後はイベント開催時にお声がけいただくことが増えました。クラフトコーラをメディアで見たことがあるという方が多くなり、認知度の向上を感じました。それまでは、『クラフトコーラって何?』という感じでしたから(笑)」。

実際に、前回の記事公開時点(2022年1月)で推計約500種類だったクラフトコーラは、現在では倍以上に増加しているそう。購入層も老若男女と幅広く、味はもちろん、おしゃれな瓶やラベルに惹かれる人も増えています。

 

国際クラフトコーラ連盟が発足
黎明期を支えた、功労者の想い

最近では有明ガーデンや蔦屋家電、ドン・キホーテなどで開催される特設イベント「クラフトコーラ・ヴィレッジ」も人気を博し、需要の高まりを見せるクラフトコーラ。空水さんは「国際クラフトコーラ連盟」の立ち上げに参画し、クラフトコーラの認知向上とイベントの運営に励んでいます。

連盟の前身である「Cola Fan」を運営するのは、クラフトコーラ界の先駆者として名高いUMAMI COLA株式会社。代表の山田貴久さんは、麴甘酒を使用した健康志向のクラフトコーラ「UMAMI COLA」の製造・販売を行いながら、クラフトコーラの認知度向上と、メーカー同士の交流を促す活動に長年取り組んできました。その結果が、昨今のクラフトコーラ特集や各種イベント開催に繋がっており、まさにブームの火付け役ともいえる功労者です。

国際クラフトコーラ連盟は、クラフトコーラへの需要の高まりを受け、これまでは山田さんが一人で担ってきた活動を、組織化した団体で実施していくべく設立されました。空水さんはこう語ります。

「連盟の設立により、加盟するメーカーで仕事を分担することが可能になりました。毎月の定例会でメーカーが抱える課題を共有したり、相談したりと、垣根を越えた活動ができることをうれしく感じています」。

JAPAN-BRAND FUNを運営する株式会社SAVE FUNも、国際クラフトコーラ連盟の賛助会員として参加しています。当サイトでの情報発信やECショップでの販売を通じて、業界の発展に貢献したいと考えています。

 

コーラの数だけ、個性がある
注目のブランドとその特徴は?

人気上昇中のクラフトコーラ。種類が増えるなかで、どんなおすすめ商品があるのでしょうか?
空水さんに、当サイトでも取り扱いのある注目コーラをいくつかピックアップしてもらいました。

今回ご紹介するクラフトコーラ

▲今回ご紹介するコーラはこちら。記事作成にあたり、それぞれのメーカーからサンプルをご提供いただきました。皆さまありがとうございます!

 

カカオ生コーラ:デザート感覚・チーズとのペアリングが最高!

「カカオ生コーラ」は、京都発の食品ブランド「GOOD NATURE MARKET」が販売するクラフトコーラ。コスタリカ産の高品質なカカオ豆が使用されています。

カカオコーラ-イメージ

チョコレートっぽい味ではなく、カカオの風味はあくまで微かに感じる程度。カカオと柑橘類、スパイス類の合わさった香りには品があり、多くの人々が魅了されています。上品なデザートを思わせながらも、チーズとの相性も良好という深い味わいが印象的です。

カカオコーラのボトル

▲マットな光沢のあるラベルが確かな品質感を思わせます

グラスに注いだカカオコーラ

▲ほのかに香るファインカカオ(高品質なカカオ)が特徴的

「GOOD NATURE MARKET」では“5GOOD=身体、心、環境、社会、地球にGOOD”というコンセプトを掲げています。チョコレートを作る過程で大量廃棄されるカカオハスクを活用する方法を試行錯誤しているときに辿り着いたのが、クラフトコーラだったとのこと。

このように、「カカオ生コーラ」は、カカオをアップサイクルした環境にも優しいクラフトコーラです。

 

Uシロップ:オーソドックスで、ハンバーガーのうま味も倍増!

三重県名張市にあるナチュラルシロップメーカー「Uプロダクツ」の販売するクラフトコーラ。

同工房では元々「コーラ・スカッシュ」というクラフトコーラを販売し、OEM事業を通じ、これまでもさまざまなクラフトコーラ商品を委託製造しています。2023年4月には「COLANDCOLAND」から「UUプロダクツ」へと屋号を変更し、工房併設のドリンクスタンド「シロップベースU296」もオープン。

Uシロップ-イメージ

「Uシロップコーラ」はUプロダクツを代表するシロップで、こだわり抜いたスパイスとミネラル豊富なきび砂糖、レモン、ライムが贅沢にブレンドされています。

オーソドックスな風味は万人におすすめで、初めてクラフトコーラを飲む方にもうってつけ。ファストフードをアップグレードした感覚で、ハンバーガーと合わせても良い感じです。

Uシロップのボトル

▲シンプルなラベルとシールがあしらわれた、スタイリッシュなデザイン

グラスに注いだUシロップ

▲スパイス感がまろやかで飲みやすく、クラフトコーラデビューにもおすすめ

企画から製造、デザインまで全て自社で一貫しており、作り手の表現したいものが率直に反映された一品です。

 

知多コーラ:ソーダはもちろんお酒で割ってもおいしい!

愛知県南西部にある「知多半島」が名前の由来のご当地クラフトコーラ。

知多コーラ-イメージ

知多半島では、常春といわれるほど温暖な気候を活かし、さまざまな果物が栽培されています。「知多コーラ」には地元の生産者から直接買い付けた良質なみかんとレモンを使用。まろやかなフルーティーさが特徴です。

また、ラベルにはクジラが描かれていますが、知多半島には捕鯨の歴史があり、かつて知多半島沖に生息していたことを踏まえたデザインとのこと。

知多コーラのボトル

▲プレーンななかにもこだわりを感じさせるボトルデザイン。クジラが印象的

グラスに注いだ知多コーラ

▲柑橘由来のみずみずしさと、キレの良い後味が特徴

沖縄県産のきび砂糖と黒糖が使用されていますが、全体的にさっぱりとしており、柑橘系の味わいはワインで割れば爽やかなサングリアにも変身します。ハイボールに少し入れてコークハイにしてもおいしく飲むことができます。

 

Meimetsu:高貴な個性を単体で味わいたい!

伊藤甘味の「Meimetsu」は、一言で表すなら金木犀の香るクラフトコーラ。見た目も控えめな角瓶が化粧瓶のようで、女性を中心に人気を博しています。

Meimetsu-イメージ

作り手の伊藤さんはお菓子作りが趣味で、「オランジェット」というお菓子を作る過程で生じる大量のシロップをどうにか有効活用できないかという想いから開発がスタートしたそう。金木犀が主体となった、高貴で複雑な香りが魅力です。フードと合わせずにこの1杯と向き合って、華のある甘さを楽しむのもおすすめ。

Meimetsuのボトル

▲立方体に近いボトル形状とオレンジのグラデーションが、まるでコスメのよう

グラスに注いだMeimetsu

▲オレンジの優しい甘さと、金木犀の芳醇な香りを楽しめます

繊細な香りを表現するため、スパイス・ハーブはホールとパウダーを使い分けて丁寧に配合し、パウダーにする際も自ら挽いて、新鮮な香りを逃さないようにしているそうです。

また、オレンジシロップをカラメル化させる際はバラつきを出さないために、少量ずつ香りを確かめながら火入れを行っています。こうした丁寧で繊細な一連の作業に職人の技が光る一品です。

 

ツチヤコーラ:乳製品にかけてもおいしい!

「ツチヤコーラ」は岡山のご当地クラフトコーラ。元々は地元の貸店舗で不定期にカップで販売が行われていました。

ツチヤコーラ-イメージ

岡山の温暖な気候とその恵みをしっかりと届けるコーラにしたいとの想いのもと、柑橘には同県の牛窓産レモンが丸ごと使用されています。

ツチヤコーラのボトル

▲かわいいイラストが配された、レトロとモダンが融合したボトル

グラスに注いだツチヤコーラ

▲全体的にバランスの良い味わいながらも、スパイスと柑橘の風味が際立ちます

レモンは県内工場で皮ごとペースト加工。しっかりとした柑橘感が全面に押し出された新鮮な味わいで、心地よいほろ苦さがアクセントとして際立ちます。

それでいてコーラ感、スパイス感もはっきりとしており、それぞれの素材が共存。牛乳や豆乳、アイスにかけても、香味がまろやかになりおすすめ。

 

自社工房を設立するメーカーも
意欲的なクラフトコーラ誕生を後押し

空水さんによると、現在のクラフトコーラ業界には3つのトレンド傾向があるそうです。

その3つとは、[1]クラフトコーラの自社製造化、[2]クラフトコーラのRTD化、[3]クラフトコーラメーカーの飲食店化です。 このトレンドを踏まえながら、前回記事で登場した3ブランドの直近の取り組みを、空水さんに紹介してもらいました。

 

UMAMI COLA

「2023年7月には、『UMAMI COLA』が長年の目標としてきた缶での販売をスタートしています」。

小資本のクラフトコーラメーカーが本格的な缶飲料の販売を開始したのは、業界に大きな変化をもたらしたといえます。

ウマミコーラ缶

▲自社一貫体制によって製造された初の缶入りクラフトコーラ「UMAMI COLA缶」

UMAMI COLAは“飲む点滴”といわれる麹甘酒をベースにスパイスとハーブを配合。お米由来の旨みとスパイシーさ、果実味が融合しています。

グラスに注いだウマミコーラ缶

▲一般的な缶飲料とはラベル印刷の上下が逆。これは飲む時に引っくり返すことで、缶の底の沈殿物が混ざるようにするため。赤色を帯びた液色も印象的

「驚くべきは、製造のために埼玉県戸田市に新自社工場『UMAMI COLA La Fabrica』を設立したこと。1ロットの製造数が膨大な缶は、コストがかかり、委託を受け入れる会社も少ないために、これまで個人レベルのメーカーには製造が難しい現実がありました」。

UMAMI COLA La Fabrica外観

▲世界初となるクラフトコーラ専門工場「UMAMI COLA La Fabrica」

UMAMI COLA La Fabrica内部

▲非常に難しいとされるクラフトコーラ缶の製造を実現しました

自社工場であれば、原材料の仕入れから炭酸の充填までを全てコントロール可能で、品質も追求できます。自社工場ならではの試作のしやすさを活かし、意欲的なクラフトコーラの発売にチャレンジするメーカーも増えているようです。

 

MotoCola

以前はUプロダクツにコーラの製造を委託していたMotoColaも、自社工房を設立。工房があれば、製造設備を自由に使うことができるようになり、新しいアイデアをすぐに試作できます。実験的なモノづくりにも挑戦しやすい環境といえるでしょう。

MotoCola工場

▲MotoCola自社工房と代表の五明基さん。ここでMotoColaはもちろん、他メーカーの製造も受託しています

MotoCola製造風景

▲MotoColaの瓶は、手作業によってシーリングワックスで密栓されています

そんなMotoColaからは、トマトやバジル、塩を効かせた「MotoColaサマーエディション」という、聞いただけで個性が伝わるコーラも発売されています。岡山県産の完全無農薬の朝摘み生バジル、朝仕入れてすぐにピューレにした国産野菜、100gで4,000円もするミネラル豊富な海水塩など、原料にも鮮度にもこだわった限定品です。

Moto Colaサマーエディションのボトル

▲シーリングワックスの明るい黄色と中身の黒によるコントラストが目を引く「Moto Colaサマーエディション」

グラスに注いだMoto Colaサマーエディション

▲トマトやバジルなどを使用した意欲作。液色の黒は、化学燃料を使わず1週間焼いて作られた竹炭に由来するもの

自社工房の自由度とスピード感によって実現した、夏にすっきり飲めるクラフトコーラです。これからのMotoColaの展開も楽しみです。

 

8cco

8ccoの薬膳醗酵コーラ「覚醒」は、江戸時代より続く醤油蔵のノウハウを採り入れた、発酵原料が主役のクラフトコーラ。飛騨山椒や醗酵黒梅など、和を連想させる原料がふんだんに使用されています。

薬膳醗酵コーラ「覚醒」のボトル

▲「8」をモチーフにしたロゴが直接プリントされた、シンプルなデザインのボトル

グラスに注いだ薬膳醗酵コーラ「覚醒」

▲発酵原料のまろやかな旨みと、スパイスがしっかり効いたパンチのある味わい

ここ最近、飲食店化に踏み出すクラフトコーラメーカーも増え、ドリンクスタンドはもちろん、料理とのペアリングが楽しめる魅力的なスペースも増加しているそうです。

8ccoを運営するきのか蔵株式会社は、複数企業との共同で東京・虎ノ門に「虎ノ門ノ羊ノ門ノ昼ノ門」をオープン。ジンギスカンの名店「羊SUNRISE」とコラボした羊肉のケバブや、焼き芋専門店「秘蜜な焼き芋」のさつまいもを使用した天ぷらとのマッチングが話題を呼んでいます。

虎ノ門ノ羊ノ門ノ昼ノ門のケバブ

▲「虎ノ門ノ羊ノ門ノ昼ノ門」では、野菜たっぷりのヘルシーなケバブラップとコーラのペアリングを楽しめます

虎ノ門ノ羊ノ門ノ昼ノ門の醗酵コーラ

▲コーラはカジュアルに持ち運びやすいパウチに入って提供されます

「自分でそのクラフトコーラに合った食べ物を探すのも楽しいですが、自社製品の魅力を知るメーカーならではの食べ合わせ提案は、コーラの楽しみ方を拡張してくれるのでうれしいですよね」。

>>「UMAMI COLA」・「MotoCola」・「8cco」は、こちらの記事でもご紹介しています。

 

求められるアイデンティティ
多様化するコーラの世界

クラフトコーラ黎明期から、その味わいと奥深さの周知に努めてきた空水さん。
ブームを迎えたいま、これから新たにどんなことに挑戦していくのでしょうか?

「自社製造の敷居が下がり、委託製造の受け皿も増えるなかで、メーカーにとっては作りやすく、消費者にとっては選びやすい時代になっています。一方で、似たコンセプトの商品が増えたり、せっかく選んだマイナーな原料がかぶったりと、競争が高まるなかで差別化も難しくなっています。今後はクラフトコーラの持つアイデンティティについて、より深く考えることが求められる時代になるはず」。

空水さん自身は、これまで通りクラフトコーラの世界をフラットに見守り、メディアでの発信を続けながら、今後はコーラの製造・開発にも力を入れていきたいとのこと。

「実は、昨年私もクラフトコーラを開発し、出演したテレビ番組で司会者の方に飲んでいただいたり、知り合いに配ったりして、大変な好評をいただきました。これからは私の作ったクラフトコーラもおいしいよ! と伝えられるように、頑張りたいです」。

君も空水

▲1,000種類以上のコーラを飲んできた空水さんのノウハウが凝縮された試作品「君も空水」。BSの番組『松本幸四郎が沼る!!』に出演したのがきっかけで、歌舞伎俳優の松本幸四郎さんに命名してもらったそうです。写真の色紙も幸四郎さん直筆

全国の生産者が自由な発想で生み出すクラフトコーラ。オリジナルのレシピを考え、家庭で自作する方も近年増えています。多彩な広がりを見せるクラフトコーラの世界に、皆さんもハマってみては?

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