本格志向の高まりとともに注目を集めているクラフトコーラ。味にこだわったもの、健康を意識したもの、ご当地の色を打ち出したものなど、個性豊かなクラフトコーラが続々と登場し、大いに盛り上がっています。
この記事では、熱烈なコーラマニアの空水りょーすけさんに、コーラの歴史や定義、そしておすすめのクラフトコーラを3つ紹介してもらいました。今回ピックアップしたコーラは、全てJAPAN-BRAND FUNでお取り寄せすることができます。
[お話を聞いた人]
「コーラ倶楽部」管理人
「Cola-Fan」編集長
空水りょーすけさん
これまで10年以上にわたって数多のコーラを飲んできたコーラマニア。自らが企画・運営するコーラ専門のWEBサイトやメディアを通じて、さまざまな情報を発信しています。
探求と発信への情熱
コーラマニアの空水りょーすけさん
空水さんは、ふだんは会社員として勤務するかたわら、コーラ専門のWEBサイト「コーラ倶楽部」管理人と、WEBメディア「Cola Fan(コーラファン)」編集長兼ライターを務めています。
そんな空水さんがコーラを好きになったきっかけは2010年頃のこと。ふと手に取ったアサヒ飲料「グリーンコーラ」の、これまでに飲んできたコーラとはまったく異なる味わいに衝撃を受けたそうです。
以来、空水さんが現在までに飲んだコーラは600種類以上。海外のコーラを個人輸入したり、国内外の作り手を訪問したりと、コーラへの探求心は並々ならぬものがあります。空水さんは毎朝3時に起床して、前日の晩に冷やしておいたコーラを飲み、その写真やテイスティングコメントを残すのが日課だそう。TwitterやInstagramへの投稿も積極的に行っているので、興味のある方はぜひご覧ください。
空水さんが運営する「コーラ倶楽部」のテーマは、あらゆるコーラの発見と紹介です。「こんなコーラもあるんだ!」「珍しいコーラだけど、あのサイトを見れば分かるだろう」といった状態になることを目指しているそうです。
▲「コーラ倶楽部」では国内外のコーラが紹介されています。その数の多さに驚きます
そしてWEBメディア「Cola Fan」では、クラフトコーラやメーカーの知名度アップのために、さまざまなコンテンツを配信しています。自分たちのブランドのアピール方法が分からない小規模なメーカーのために、情報発信できる場を確立するのがサイトの目標です。クラフトコーラの認知を広げるために、イベントの開催も行っています。
▲「Cola Fan」はコーラの用語解説、商品レビュー、作り手へのインタビュー、イベント告知など情報盛りだくさんのメディアです
そもそもコーラとは?
歴史と定義を解説
まずは空水さんに、コーラとは何ぞや? というのを教えてもらいました。
コーラと聞くとまず「コカ・コーラ」や「ペプシコーラ」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、「コーラ」は固有名詞ではなく一般名詞です。つまり「コーヒー」や「お茶」と同じく飲み物の種類の総称です。
コーラの語源は、主にアフリカの熱帯雨林に生えているコーラという植物に由来します。この種子の部分(コーラナッツ)にはカフェインなどが豊富に含まれていて、現地の人たちは強壮効果などを期待して、そのまま噛んだり煮出して飲んだりしているそうです。私たちがイメージする茶褐色の液色は、コーラナッツに含まれる色素に由来します。
▲加工前のコーラナッツ
飲料としてのコーラが初めて製品化されたのは、1886年。アメリカのアトランタにて、薬剤師のジョン・S・ペンバートン博士が開発した、あの「コカ・コーラ」です。以降、コーラは世界中に急速に普及していき、現在に至ります。
▲今やコーラの代名詞となり、世界中で愛飲されるコカ・コーラ
高級志向のコーラが誕生したのは、今から20年以上前。「コカ・コーラ」、「ペプシコーラ」に次ぐ世界3位のシェアを持つ「ロイヤル・クラウン・コーラ」というメーカーが、1995年(日本発売は1999年)に本格派のコーラ「ロイヤル・クラウン・ドラフト・コーラ」を発売したのが最初です。
「ロイヤル・クラウン・ドラフト・コーラ」は、これまで大量生産のため、希少なコーラナッツの替わりに人工的な香料や甘味料を使うのが当たり前になっていたコーラ業界に一石を投じました。これ以降、高級路線・原点回帰という考え方が少しずつ世界に広がっていくことになります。
ちなみに日本で「クラフトコーラ」という単語が初めて使われたのは2014年、「ペプシコーラ」の生みの親キャレブ・ブラッドハムの名を取った「キャレブズ・コーラ」が、販売権を持つサントリーから発売されたのが最初でした。その後、国内のクラフトコーラの先駆けとなる「伊良(いよし)コーラ」「ともコーラ」が2018年に登場し、徐々にその認知度が上がっていきます。
2020年初頭からは加速度的にクラフトコーラが広まり、最近では1日に1つ新作が生まれるほどに。小ロットながらも高品質な素材を使った本格的なコーラ、日本各地の地域色を打ち出したコーラなど、日本独自の盛り上がりを見せています。
▲現在ではさまざまな素材を使ったコーラが登場。クラフトコーラはどんどん面白くなっています
空水さんに「コーラの定義とは?」とお聞きしたところ、厳密な定義があるわけではないという前提で、自身の考えを教えてくれました。
コーラとは……
「コーラ」という呼称で製造された飲料の総称で、基本的には生産者の自己申告制である。
何だかとてもアバウトな気がしますが、これくらいじゃないと、今の多様化したコーラの世界はカバーできないとのこと。そんな自由なところもコーラの魅力といえるでしょう。
今回の記事では、バラエティ豊かなクラフトコーラの中から、空水さんにおすすめの3品を紹介してもらいました。ちなみに今回ご紹介するコーラは全て添加物不使用。「コーラ=不健康」というイメージを覆す、健康志向の方にもおすすめのコーラです。
▲写真左:「8cco 薬膳醗酵コーラ『覚醒』」300ml入り、写真中:「UMAMI COLA」250ml入り、写真右:「MotoCola」200ml入り
米麹の旨みとつぶつぶ感
「UMAMI COLA」
おすすめクラフトコーラの1つ目はUMAMI COLA株式会社の手がける、その名も「UMAMI COLA」。
代表の山田貴久さんはコーヒーやパンケーキといった食の分野からIT業界まで幅広く活躍し、あの「スターバックス コーヒー」の国内1号店の立ち上げにも関わったというすごい方です。
▲「UMAMI COLA」250ml入り
クラフトコーラを作ったきっかけは、かつて膵炎を患って大好きなお酒を控えないといけなくなった際に、飲食店のソフトドリンクの選択肢が少ないことに気付いたこと。おいしくて健康的な飲み物を作りたいと考えたのが出発点だったそうです。
「UMAMI COLA」は、日本酒「八海山」で知られる新潟県の八海醸造の麹甘酒を使用している、とても日本らしいコーラです。その他の原材料は石垣島産サトウキビ、国産の米飴、沖縄県産シークヮーサー、クローブなど。
“飲む点滴”といわれる甘酒に加えて、不老不死の霊薬とされるホーリーバジル、風邪の予防作用が注目されるエルダーフラワーなど、健康パワーが期待される原料が目白押しです。予防医学の観点から身体に良いコーラを目指していて、必須アミノ酸9種類を含めた全てのアミノ酸をはじめ、350種類を超える栄養成分が含まれています。
▲米麹で作られた麹甘酒が、独特の旨みを醸し出します
瓶をしばらく置いておくと、米麹の粒が沈殿するのが面白いところ。この米麹が、他のクラフトコーラにはない独特ののどごしを生み出しています。つぶつぶ感を残しすぎず、潰しすぎずの絶妙なバランスを開発時には追求したとのこと。お米由来の甘さにシークヮーサーのさわやかな酸味、スパイスの風味が混然一体となって、上質感あるコーラの味わいになっています。
▲麹甘酒によるオンリーワンの“食感”と旨みを楽しめます
空水さんも「UMAMI COLA」をリピートしているとのこと。原液そのものがおいしいので、まずシロップをチビチビと飲んで、炭酸で流し込む飲み方がおすすめだそうです。
華やかな香りと甘み
「MotoCola」
おすすめクラフトコーラの2つ目は、「MotoCola」です。
「MotoCola」の作り手である五明基さんは、コンビニの店長という本業がありながら、強い情熱をもってコーラの製造に取り組んでいます。
▲「MotoCola」200ml入り
商品名の由来は、自身のお名前の基(もとい)と「みんなの笑顔の“もと”になりたい」という想いから。奥様がシナモンや炭酸が苦手で、それを克服してもらうためにコーラを作ったのだそうです。ちなみにラベルに描かれたバラの絵は、奥様が中学生の時に所属していた美術部の卒業制作の作品です。
他にパッケージで特徴的なのが栓の部分。ウイスキーなどで見られるシーリングワックスで密栓されています。これは五明さんが1本ずつハンドメイドでワックスを溶かして栓をしています。そのため全て違う形をしていて、この世に2つと同じものが存在しません。
コーラといえば、これまでは工場を持つメーカーしか作れないものだと思われていましたが、今では個人でも製造ができる時代です。「MotoCola」は、まさに現代のクラフトコーラのムーブメントを象徴する存在であり、既存の清涼飲料とは対極の位置にあるといえます。そのせいか生産量に限りがあり、現在は月に100本のみの出荷となっています。
手作業のため一つひとつ形が違うシーリングワックス。プレミアム感があります
グラスに注いでみると、真っ赤な色をしているのが分かります。これは原材料のハイビスカスに由来するものです。他には“花の女王”といわれるダマスクローズやてんさい糖、防腐剤不使用の柑橘、オーガニックのスパイスなど、厳選された原料だけが使用されています。
味わいは少し甘めで飲みやすくなっていて、さらに色もきれいなので、女性や子どもにも人気だそうです。家族のパーティーで、ワインを飲む大人に交じって子どもたちは「MotoCola」で乾杯、なんていうのも素敵ですね。
▲赤い液色が印象的。今回の3本の中では最もクセがなく飲みやすい味わいです
空水さんによると、ハーブティーに使われる素材が多く入っているので、ホットで飲むのもおすすめとのこと。お湯で割ることで華やかな酸味が際立ちます。また、牛乳で割るとフルーツ牛乳のような味わいになるそうで、さまざまなアレンジをしても楽しめます。
発酵とスパイスのインパクト
「8cco 薬膳醗酵コーラ『覚醒』」
3つ目のおすすめコーラは「8cco 薬膳醗酵コーラ『覚醒』」です。
「醗酵(発酵)で健康をジャックする」をテーマに掲げる、発酵のエンタメ集団「8cco」。代表の柴沼秀篤さんは、江戸時代から続く老舗醤油蔵「柴沼醤油醸造」の18代目でもあります。
▲「8cco 薬膳醗酵コーラ『覚醒』」300ml入り
日本が誇る発酵食品・醤油のプロというルーツを活かし、発酵素材や薬膳スパイスをふんだんに使ったのが「覚醒」です。
特徴的な原料は、大粒で糖度の高い梅を熟成させた「醗酵黒梅」、じゃばら(“幻の果実”と呼ばれる柑橘類)を特許製法で醗酵熟成させた「醗酵黒じゃばら」、徳川将軍にも献上された飛騨山椒など。さらに和洋のハーブと瀬戸内産レモン、はちみつなどで味を整えています。
>>「8cco」のブランドストーリーや商品レビューは、こちらの記事でもご紹介しています。
数字の「8」をモチーフにしたかわいいボトルデザインとは裏腹に、力強いインパクトの中に何とも形容しがたい旨みやコクが感じられるのが「覚醒」の特徴。そんな同商品を、空水さんは「飲む人のコーラ観を育てる」1本だといいます。
最初の印象は“中級者以上向け”だったそうですが、試飲イベントでクラフトコーラ初挑戦の方にもすんなり受け入れられる様子を見て、その評価が変わってきたとのこと。初めて飲む方でも自然に楽しめる一方で、コーラ好きの方にとっては新しい発見がある。そんな奥深い魅力があるのは、発酵ドリンクならではといえるかもしれません。
▲個性的な味わいは、仲間や家族でテイスティングしてみても楽しいでしょう
飲用シーンとしては、商品名の通り仕事やスポーツ、趣味など“ここ一番”の勝負どころで“覚醒”するための1杯としておすすめとのこと。
▲発酵由来のまろやかなコクと、薬膳スパイスの風味が好バランス
雑誌「GetNavi」のクラフトコーラ飲み比べ企画にて、外国人からの高評価を獲得したこともあり、海外の方に「日本のプロダクトを紹介する」というシーンがあれば、そこでも活躍してくれるでしょう。
グローバルに広がる
クラフトコーラの未来
空水さんに今後のクラフトコーラ業界の動向をお聞きしたところ、次々に新しいプロダクトが生まれている現状は、今後も続くとのこと。参入する国内メーカーはさらに増え、ますます盛り上がりを見せるでしょう。
その一方で、一部のメーカーは国内での販売にとどまらず、海外進出を視野に入れています。「伊良コーラ」「UMAMI COLA」などは、すでに欧米をはじめとする海外に販路を広げようとしています。逆に台湾やフランスでは、日本人が現地でクラフトコーラの開発・販売をしている事例もあり、クラフトコーラは国際化への道をたどっています。
▲世界的ブームの兆しを見せるクラフトコーラ。これからもますます楽しめそうです
そんな中で空水さんは、これからも一人でも多くの方にコーラの魅力を知ってもらうために、一貫してコーラに関する情報発信を続けていきたいとのこと。コーラを趣味とする人が増えたり、「Cola Fan」のメディアを一緒に盛り上げるスタッフが増えたりと、コーラを中心とした輪をさらに広げていくのが当面の目標です。
クラフトコーラ市場全体を見れば、成長の余地はまだまだ残されています。採算の取れていないメーカーや、赤字のイベントもたくさんあります。クラフトコーラがビジネスとして成立するための土台づくりも、あわせて取り組んでいきたいと空水さんはいいます。
今後さらに選択肢が増えて、ますます面白くなっていくクラフトコーラ。ぜひ皆さんも、お気に入りの1本を探してみてください!
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