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誕生から110年超のロングセラー缶詰「あけぼのさけ」。海の恵みを食卓へ届け続けるマルハニチロ


誕生から110年超のロングセラー缶詰「あけぼのさけ」。海の恵みを食卓へ届け続けるマルハニチロ


140年以上の歴史を持ち、国内屈指の水産事業・食品加工メーカーとして、世界中においしい海の恵みを届けているマルハニチロ。スーパーマーケットやコンビニなどでおなじみということもあって、同社の商品を愛用されている方も多いでしょう。

今回はマルハニチロのこれまでの歩みや、限りある海の資源を守るための取り組み、そして同社を象徴する商品「あけぼのさけ」をご紹介します。


創業140年以上
世界の水産市場をリードする

水産業における国内最大手のマルハニチロは、漁業や養殖から流通、さらには食品加工まで幅広い事業を手がけています。国内はもちろん約70ヵ国にネットワークを持ち、日本のみならず、世界中の食卓を支えています。

マルハニチロ本社受付

▲東京・豊洲にあるマルハニチロ株式会社の本社にお伺いしました

もともとマルハニチロは「マルハ」と「ニチロ」という別々の会社でした。

マルハの創業は1880年。創業者の中部幾次郎さんが、鮮魚の仲買・運搬事業を始めたことからスタートしました。

当時はまだ鮮魚を運ぶ船の動力源が人力だった時代。「新鮮でおいしい魚を多くの人に届けたい」という想いのもと、マルハは日本で初めて発動機を搭載した船を用いて、水産業界の流通に革命をもたらしました。

新生丸

▲日本で初めて発動機を搭載したマルハの鮮魚運搬船「新生丸」 ※マルハニチロ提供

一方、ニチロが誕生したのは1907年。創業者の堤清六さんと平塚常次郎さんは当時まだ20代でした。ロシアでの漁業に大きな可能性を見ていた二人は漁船を購入し、カムチャッカでサケを大量に確保。

最新鋭の製造機械を導入したり、日本初の衛生缶を採用するなど技術革新を推し進め、欧米市場向けのサケ缶詰の大量生産に成功。その時に生まれた「あけぼの印」(DAY BREAK BRAND)の缶詰は現在まで110年以上も愛され続けています。

宝寿丸とカムチャッカ工場

▲写真左:二人が購入した帆船「宝寿丸」。日本の北洋漁業の第一号として、新潟港からカムチャッカに出航しました。 写真右:1910年当時のカムチャッカの缶詰工場 ※マルハニチロ提供

その後も両社は水産事業や食品加工などの分野で成長を続け、2007年に経営統合します。

当時業界1位で水産業に強みを持ち、青魚が得意だったマルハ。同3位で加工・開発力に優れ、カニやサケが得意でギフト品や冷凍食品など幅広く手がけていたニチロ。それぞれの強みを融合した「マルハニチロ」グループが誕生しました。売上高は8,600億円(2020年4月~2021年3月)を超え、「魚」をキーワードに、世界の市場をリードしています。

 

100年以上の歴史を誇る
看板商品「あけぼのさけ」

今回はそんなマルハニチロの看板商品をご紹介しましょう。先ほどの歴史のところでも登場した「あけぼの」ブランドのサケ缶です。1910年の発売以来、累計40億缶(2019年9月時点)の出荷数を誇るロングセラー商品です。

発売当時の日本では身の白いシロサケが好まれ、身の赤いベニサケは不人気でした。そこでニチロがサケ・マス漁で大量に獲れたベニサケを有効活用するために、欧米向けに缶詰として製造したのが誕生のきっかけです。

時代の変化とともにベニサケが国内でも受け入れられるようになり、現在では誰もが知るサケ缶の定番として愛されています。赤と白を基調としたパッケージデザインでおなじみですね。

あけぼのさけ缶詰

▲こちらが「あけぼのさけ」。伝統を感じさせるデザインです

ちなみに「あけぼの」ブランドは、マルハニチロの商品の中でも高品質素材を使用した歴史ある魚介缶詰だけに付けられます。缶は腐食に強く、長期保存が可能なサニタリー缶が採用されています。

あけぼのロゴ

▲缶の前面には「あけぼの」ブランドのロゴがあしらわれています

「あけぼのさけ」の原料になるのは、北海道の道東近海のカラフトマス(サケ)が中心。5月~7月頃にかけてよく獲れる、いわゆる“春マス”です。卵のある秋のサケは身に脂や栄養が少ないため、春から初夏にかけてのサケだけを使用しています。

サケ漁船

▲北海道近海へ向かうサケ漁船 ※マルハニチロ提供

全国に数あるマルハニチロの缶詰工場の中で「あけぼのさけ」を作っているのは北海道の釧路工場のみ。海鮮市場のすぐ目の前にあるので、その日に水揚げされた素材を、その日のうちに缶詰にすることができるのが魅力です。

工場に運ばれたサケは、身の部分を厚めの輪切りにして、食塩水につけて肉を引き締めたらすばやく缶へ。食べる時に邪魔になるエラやヒレは、この段階で手作業で落とされます。最後に缶を密封して釜に入れ、加熱殺菌すれば完成です。

これがいわゆる「水煮」という調理法で、原材料はカラフトマスと塩のみ、味付けはいたってシンプルです。保存料や着色料などの添加物は一切使用していません。

サケの身だけでなく骨や皮がそのまま入っているので、栄養素が豊富なのもうれしいポイントです。DHAやEPAなどはもちろん、サケ特有のアスタキサンチンが含まれています。ベニサケの身がピンク色なのはこの成分によるものといわれていて、エイジングケア成分としても注目されています。

 

脂がのって肉厚
しっかりと素材感を楽しむ

それでは実際に「あけぼのさけ」を試食してみましょう。フタを開けると、缶の中に身がぎっしりと詰まっているのが分かります。

「あけぼのさけ」缶2種

▲「あけぼのさけ」写真左が180g入り、写真右が90g入り

あけぼのさけ缶中身

▲大ぶりにカットされた身がぎっしり入っています

脂がのった北海道産のサケは適度にしっとりしていてやわらかく、鮮度を保てる製法のおかげで旨みが逃げておらず、臭みもありません。よけいな調味料を加えていない分、素材のおいしさをストレートに味わえます。このシンプルさが、長年愛される秘訣でもあるのでしょう。

あけぼのさけ盛り付け

▲優しい塩味が絶妙にきいていて、これだけで一品として成立します

そのまま食べても良いですが、アレンジを加えるのもアリです。輪切りになったサケの身がまるまる入っているので、ゴロッとした身の食感を楽しむもよし、ほぐしてご飯やパスタと和えてもよし。味付けも塩のみなので、使い方は自在です。

マヨネーズと一緒に食べれば、それだけでご飯のおともにも、おつまみにも最高です。マヨネーズといえば、もともと日魯漁業(当時のニチロ)が「キユーピー」の商標を持っていて、それを中島董商店(現・キユーピー)がマヨネーズのブランドとして使用したいとのことで、商標譲渡をした歴史があるのだとか。時代を超えた、意外な縁とマッチングが面白いところです。

あけぼのさけレシピ写真

▲和洋を問わずいろいろなレシピで楽しめます。料理の際に缶詰のエキスごと使うことで、旨みや栄養素を残さず摂ることができます ※マルハニチロ提供

 

世界の海洋資源を守る
海の恵みを未来まで

気候の変化や世界各国の漁獲量の急増によって、いま日本の漁業は苦戦を強いられています。マルハニチロは水産事業のトップランナーとして、限りある資源を守りつつ食卓に海の恵みを届けるために、さまざまな活動を行っています。

そのひとつがクロマグロ完全養殖プロジェクトです。デリケートなクロマグロを育てることは数々の困難をともないましたが、奄美大島の養殖施設にて20年以上の歳月をかけて取り組み、ついに完全養殖に成功しました。これは民間企業では初めてのことです。

卵から人工孵化させて、成魚に育てて、そこで生まれた卵をまた育てて……というサイクルで生まれたクロマグロは、SDGsへの意識の高まりとともに世界中で注目されています。

クロマグロ養殖の様子

▲奄美大島南部にあるクロマグロ養殖のための大型の生簀 ※マルハニチロ提供

SDGsへの貢献にも積極的です。マルハニチロのSDGs関連の活動は多岐にわたりますが、その中でも特徴的なのが、水産資源を守るための取り組みです。

世界の水産大手企業10社と海洋・漁業・持続可能性を研究する科学者による組織「SeaBOS(Seafood Business for Ocean Stewardship)」に設立当初から参画し、グローバルな視点から海洋管理の保全などに取り組んでいます。当時マルハニチロの社長だった伊藤滋さん(現・会長)は、同組織の初代会長でもあります。

また、マルハニチロでは持続可能な漁業の認証(MSC:Marine Stewardship Council、海洋管理協議会)、養殖の認証(ASC:Aquaculture Stewardship Council、水産養殖管理協議会)を取得した水産物の取り扱いも推進しています。後先を考えずに漁獲量をあげれば、資源は枯渇してしまいます。適切に管理された水産資源を持続的に利用できるように、トレーサビリティの整備にも力を入れています。

もっと身近なところでいえば、例えば「あけぼのさけ」を製造する時に切り落とされた頭や尻尾についている肉を手作業で切り、「さけ細肉」缶詰として他商品にしたり、それでも残った部分を飼料として利用するなど、原料を無駄なく活用することを意識しています。

本当においしいものを、世代を超えて届け続ける。
「海といのちの未来をつくる」というブランドステートメントの通り、これからもマルハニチロは、140年以上も「海」と向き合ってきた同社ならではの知見を活かして、世界中の食卓を豊かにしてくれることでしょう。

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