瀬戸内海に位置する淡路島。温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれたこの島は、玉ねぎの産地として知られています。
この淡路島産玉ねぎの魅力がたっぷり詰まった商品を生産・販売しているのが、株式会社善太です。甘くてジューシーな「淡路島フルーツ玉ねぎ」の生産秘話や、玉ねぎを贅沢に使ったスープやレトルトカレー商品の魅力について取材しました。
[お話を聞いた人]
株式会社善太
専務取締役
清水健次さん
淡路島の恵みが生んだ
「玉ねぎドレッシング」が大ヒット
株式会社善太の創業は、1974年。古くからの慣習が残り、お祭りごとも多い風土の淡路島において、結婚式の引き出物や、40歳を迎えた際に行う「初老祝い」で渡す手土産など、贈答品の事業を展開し、地元に根ざした企業として愛されてきました。
転機を迎えたのは、約20年前のことです。島内での結婚式や、初老祝いを行う人が減少する流れを受けて、創業者が贈答品に代わる事業として、淡路島玉ねぎのドレッシングを開発・販売。これがTVで取り上げられるなど大きな話題となり、玉ねぎドレッシングは同社のロングラン商品となりました。
同時期に創業者の親戚が生産する「淡路島産玉ねぎ」も販売していましたが、この玉ねぎが非常に甘かったため、「淡路島フルーツ玉ねぎ」として販売したところ、こちらも人気となり同社が商標も取得しました。
約15年前に親戚が高齢を理由に引退することになったため、同社がその畑を引き継ぎ、ノウハウを教わりながら自社栽培に切り替え、試行錯誤を繰り返しながら現在に至ります。
▲善太は淡路島に約5ヘクタールの自社栽培の畑を有し、契約栽培も含めて年間およそ700tの玉ねぎを生産しています
▲淡路島フルーツ玉ねぎは、品質にこだわるスーパーマーケットや百貨店のカタログなどで販売されています
別格の「甘み=糖度」
淡路島フルーツ玉ねぎの秘密
淡路島フルーツ玉ねぎの特徴は、何と言ってもその甘みです。一般的な淡路島産玉ねぎの糖度が7~9度程度のところ、淡路島フルーツ玉ねぎでは糖度11度以上をめざしています。
過去には糖度16.4度を記録したこともありますが、これはメロンと同等の数字。まさに果実のような甘みについて、専務の清水さんは「うちの玉ねぎをカレーに入れたら、辛口のつもりが甘口風になってしまった、チャーハンが予想外に甘くなった、なんてお話も聞くんですよ」と笑って話します。
▲糖度が高いだけでなく、柔らかく肉厚で、甘くジューシーな食感も楽しめます
甘みの秘訣は、どこにあるのでしょうか?
「淡路島では水稲と玉ねぎの二毛作による循環型農業が発達しており、そのスタイルは日本農業遺産にも認定されています。また酪農も盛んなので堆肥を活用することで良質な玉ねぎを生産するための環境も整っています。当社の淡路島フルーツ玉ねぎの生産では、できるだけ農薬を減らしながら堆肥を必ず使っています。良質な肥料で育てた淡路島フルーツ玉ねぎは、肉厚で、甘くてジューシー。もちろん手間もかかりますが、自分がおいしいと思えるものだけを生産することを大切にしています」。
▲畑の多くは海の近く。水はけが良く、潮風や地下水のミネラルが豊富な淡路島は、おいしい玉ねぎが育つ環境に恵まれています
▲収穫の様子。海藻エキスや牛の堆肥といった有機肥料、独自のミネラル肥料などで育ったこだわりの玉ねぎです
うま味・甘みが凝縮
口コミ高評価の玉ねぎスープとカレー
そんなこだわりの詰まった淡路島フルーツ玉ねぎは、さまざまなオリジナル商品へと加工されています。
「淡路島フルーツ玉ねぎスープ」は、甘味を引き立たせる製法により、玉ねぎの旨みを凝縮した粉末スープです。ドレッシングに続いて販売開始されて以来、楽天市場のスープランキングで1位を獲得したり、兵庫県の「五つ星ひょうご」で特産品として選定されるなど、高い評価と不動の人気を得ています。
▲「淡路島フルーツ玉ねぎスープ」。写真はJAPAN-BRAND FUNで取り扱いのある、30食入りのお得用セット
おいしさの秘訣は、玉ねぎの皮。玉ねぎを粉末にする際に、あえて茶色い皮を残すことで味に深みを出しています。皮に含まれるケルセチンは動脈硬化防止も期待できるそうで、健康面でのメリットもあります。
玉ねぎの味わいを存分に引き出すために、椎茸エキスやガーリックパウダーでうま味成分を追加しており、醤油味でありながら、和食にも洋食にも合う味付けとなっています。
またスープとして飲むだけでなく、アレンジ料理にも活用できる便利な商品です。清水さん曰く、「スープにゴマやわかめをトッピングしたり、野菜を刻んで煮込むのもおすすめ」とのこと。
「なかにはお味噌汁の出汁として使ったり、炊飯時に混ぜてピラフに、また唐揚げの隠し味に使う上級者もいらっしゃるようです。ドレッシングと同様に歴史ある商品ですが、リピーターのお客様も多くいらっしゃるため、味やラベルは販売開始当時から変えていません」。
▲便利な粉末タイプなので、お湯で溶かすだけで1食分のスープが完成します
▲シンプルながらも奥行きのある味わいで、上質な素材の旨みを感じさせます
また、このスープのほかに人気なのが、「淡路島玉ねぎ5倍カレー」。淡路島産の玉ねぎを通常の5倍使っており、トロトロになった玉ねぎの甘みと旨みが詰まったマイルドな味わいが特徴です。甘口寄りの風味が大人にも子どもにも人気で、家族で楽しめるレトルトカレーに仕上がっています。
▲その名の通り、従来よりも玉ねぎを多く使用した「淡路島玉ねぎ5倍カレー」。玉ねぎの旨みが詰まったマイルドな味わいは、世代を問わず好まれるおいしさです
オートミール使用の新スープ
食物繊維も効果的に摂取
そして、2022年12月に善太がリリースした注目の新商品が、「華やかトリュフ香る玉ねぎオートミールスープ」です。栄養価の高さへの注目が高まるオーツ麦を使ったこのスープは、1食分に対してお湯を注いで混ぜるだけで完成。豊富な栄養素とフルーツ玉ねぎのおいしさを、華やかなトリュフの香りとともに楽しめます。
▲「華やかトリュフ香る玉ねぎオートミールスープ」
商品開発のきっかけについて、清水さんはこう話します。
「スープ開発を得意とする当社で、思い切って少し別の路線の新商品をお届けできないかと考えるなかで、話題のオートミールを使うアイデアが思い浮かんだのがきっかけです。ただ、オートミールは身体に良いものの、独特の味わいや食感が苦手という人がいることも事実で、当社スタッフ内でも好き嫌いが分かれていました。そこで、多くの方に召し上がっていただくためには、強い香りが必要だと考え、玉ねぎスープをベースにトリュフを加えたら非常においしく仕上がりました」。
善太では新商品開発にかける時間を惜しまず、納得できる商品を作るために1年以上を費やすこともあるのですが、「このオートミールスープに関してはトリュフを入れた瞬間に方向性が決まった」とのこと。
オートミールは食物繊維たっぷりで栄養が取れることはもちろん、腹持ちするのも魅力です。ホットミルクを注いでリゾット風にするのもおすすめの食べ方です。
▲フルーツ玉ねぎの旨みとトリュフのリッチな風味が好相性。オーツ麦の食感や香りが、ちょうど良いアクセントになっています
この「華やかトリュフ香る玉ねぎオートミールスープ」は、特に若い年齢層のファンが多いそうです。またバイヤーさんからも「単体でオートミールを買う人が増えている一方で、味付き商品はまだまだ少ない。非常にクオリティの高いこの商品を食べてもらうことで、味付きオートミール商品の今後も変わっていくのではないか」と、高く評価されたそうです。
胸を張れるものだけを作る
菓子商品の開発にも励みたい
ドレッシングやスープなど、ロングラン商品を世に送り出しながら、新たな商品開発にも熱心に励む善太。一貫してめざすのは、おいしく、かつ良質な商品の提供です。今後の展望について、清水さんはこう語ります。
「自分がおいしいと思えるもの以外は、作りたくないんです。販売するからには、常においしいものを、良いものを、胸を張れるものだけを生産したい。ECサイトなどでの口コミでも高い評価をいただいていますが、私たちのこだわりや想いが通じたからこその結果だとすれば、非常にうれしく思います」。
善太では、現在ある「お菓子」の開発を実施しているそうです。その材料となるものは、もちろん玉ねぎ。
「これまでも島内で玉ねぎを使った煎餅を扱ったことはありましたが、それ以外の菓子類は開発販売を行ったことがなく、新しい試みとなります。淡路島のお土産物としてはもちろん、日本全国で手に取っていただけるよう、思い切ったチャレンジをしていきたいです」。
淡路島フルーツ玉ねぎの魅力を伝え続けるために、善太の挑戦は続きます。
▲善太こだわりの淡路島フルーツ玉ねぎを、さまざまな食べ方でお楽しみください!
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