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土佐和紙の伝統をモダンにアップデート。内外典具帖紙のオリジナル和紙製品


土佐和紙の伝統をモダンにアップデート。内外典具帖紙のオリジナル和紙製品


高知県いの町。清流・仁淀川が流れるこの町は、和紙づくりが盛んなことで知られ、「土佐和紙」は日本三大和紙のひとつに数えられます。

そんな伝統ある地域で、1877年の創業以来、良質な和紙づくりに一貫して励んできたのが、内外典具帖紙株式会社です。今回は、伝統を時代に合わせて進化させた、内外典具帖紙の和紙製品を取材しました。


 

強度・保存に優れた性質
歴史ある高知の和紙づくり

高知県における和紙の歴史は古く、律令(法律)の施行細則をまとめた「延喜式」に、国に紙を献上する主要産地として土佐の名前が書かれています。
「延喜式」の完成は西暦927年。つまり平安時代中期には、高知県に和紙があったと考えられます。

和紙づくりに欠かせないもの。それは、きれいな水と原料の「楮(こうぞ)」です。

いの町は、日本有数の水質を誇る仁淀川の恵みと、良質な楮(こうぞ)の栽培に適した土地があったことから、製紙産業が活発に行われてきました。特に高知県の楮(こうぞ)は繊維が長くて強いため、薄くて丈夫な和紙が製造できるとされています。

仁淀川

▲高知県いの町を流れる清流・仁淀川。水の透明度が非常に高く、たびたび水質日本一に選ばれています

楮の木

▲和紙の原料になる楮(こうぞ)の木

ここで改めて、和紙の定義について触れると、和紙とは植物の繊維を溶かし、糊で分離させた繊維を絡め合わせて乾かしたものを指します。

高い吸水性や保温性、調光性を特徴としており、植物の繊維を複雑に絡ませてつくられていることから強度があり、簡単には破れません。また、「洋紙100年・和紙1000年」という言葉があるように、日焼けなどで劣化しにくいため、保存にも優れています。

和紙は西暦600年代に中国から伝わり、貴族や武家がたしなむ書物や屏風などに使われました。そして江戸時代になると、庶民の間で傘やふすま、行灯などの日用品として和紙が広く使われるようになりました。

こうして和紙は長い年月を経て私たちの生活に入り込んできました。特にいの町周辺でつくられる「土佐和紙」は高く評価され、現在でも広い用途で使用されています。

 

タイプライター原紙として活躍
世界で評価された典具帖紙

そんな「土佐和紙」発祥の地・いの町で内外典具帖紙が創業したのは、1877年のこと。初代・濵田久次さんが近隣に住む住民を集めて、手すきで和紙の製造を営んだのが始まりです。その後、1958年に機械で和紙をすく「機械すき」に切り替え、三代目・濵田久一さんが内外典具帖紙を株式会社として設立しました。

内外典具帖紙の看板

▲明治期に創業した、とても歴史のある会社です

当時は、タイプライターの全盛期。保存性が良く、長くて強い繊維を持つ国内産の楮(こうぞ)ですきあげた和紙「典具帖紙」は、その優れた特性から、タイプライター原紙として重宝されました。そして内外典具帖紙も、ドイツを筆頭に欧州への輸出を多数行っていました。

その後、タイプライターはワープロやPCに変わり、タイプライター原紙の需要はなくなりました。また、洋式の家屋が増え、ふすまなどが減るにつれて障子紙としての需要も減少しています。

一方で、典具帖紙は透き通るような薄さと強度を活かし、美術品などの文化財の修復紙として活躍しています。その薄さは、他のものと重ねると和紙がどこにあるのか分からなくなるほど。

和紙の需要が減少し、伝統の担い手が目に見えて減っているものの、和紙の丈夫さや機能性は、今でも高く評価されているのです。

内外典具帖紙の旧工場

▲内外典具帖紙の旧工場

 

和紙の質感とデザインが映える
活版カレンダと土佐弁ポチ袋

世の中のニーズが変わっていくなかでも、和紙を多くの人に使ってほしい。そんな想いを込めて、内外典具帖紙では、親しみやすい和紙の商品を開発しています。

今回ご紹介する一つ目の商品は、「内外典具帖紙オリジナル活版カレンダ」です。高知県特産の土佐和紙に活版技法を用いた和紙カレンダーは、シンプルなデザインの印字が魅力です。カレンダーの印字部分は活版印刷職人の南典子さん、ケースの帯の部分は高知県を拠点に活躍するデザイナーの梅原真さんによるデザインです。

内外典具帖紙オリジナル活版カレンダ

▲「内外典具帖紙オリジナル活版カレンダ」(写真は2023年版)。パッケージにもこだわりが感じられます

上品でモダンなデザインに仕上がっており、和紙のサイド部分に毛羽立ちをあえて残すことで、和紙の風合いを引き出しています。

洋室・和室問わず映える質感で、トイレやキッチン、ダイニングルームなどの壁に貼り、インテリアとして添えてもおしゃれです。また、カレンダーケースも付属しており、お土産や贈り物にも最適です。

カレンダー商品写真1

▲1月~12月の日付が、一枚の長い和紙に印刷されています。サイズは約12cm×1m

カレンダー商品写真2

▲和紙ならではのザラッとした質感が表情豊か。あえて和紙特有のフチ(いわゆる「耳」の部分)を残しています

 

二つ目は、「土佐弁ポチ袋」です。高知県の方言である、土佐弁で一言メッセージと絵が書かれている土佐和紙のポチ袋は、7種類が1枚ずつセットになっており、お年玉やちょっとしたお礼に最適です。

土佐弁ポチ袋

▲「土佐弁ポチ袋」。7種類のデザインが1セットになっています

土佐弁を知る人にとって心温まるメッセージになることはもちろん、土佐弁に馴染みがなくても、言葉のリズムを楽しんだり、会話のきっかけにできるような仕掛けとなっています。こちらのデザインは、高知県のデザイナーである中越令子さんが担当しています。

土佐弁ポチ袋 商品写真

▲土佐弁でのメッセージが、お年玉や贈り物のシーンに温かみをプラスしてくれます

これらの商品のベースとなる和紙は、主に高知県の楮(こうぞ)が使用されています。
外国産に比べて、高知県産の繊維の長い楮(こうぞ)が織りなす強度、和紙の薄さは特にすぐれているそうです。

 

手作業が欠かせない製造工程
混ざり物のない美しい和紙のために

では、そもそも和紙はどのように製造されているのでしょうか?
写真とともに見ていきましょう。

製造工程1・煮る

▲まずは原料となる楮(こうぞ)を煮ます

製造工程2・洗浄

▲原料を洗浄します

製造工程3・打ち場

▲洗浄された原料を、打ち場で打ちます

続いて原料を水に溶かし、抄紙機(しょうしき=紙をすく機械)に流し込んですくことで、私たちになじみのある紙の姿に近づいてきいます。

製造工程4・巻き取り

▲ドライヤーで乾燥させ、機械でロール状に巻き取ります

製造工程5・加工

▲できあがった和紙は、さまざまなサイズに合わせて加工されます

この製造工程には、およそ1週間から10日ほどかかるそうです。一つ一つゴミを取っていく作業などは手作業が欠かせず、熟練の職人たちによる慣れと集中力が試されます。

内外典具帖紙の担当者は、こんな風に「手作業」の大切さについてお話されています。
「ごみ処理が一番大切なところです。どんなに機械で薄い和紙がつくれても、混ざり物があれば美しい和紙はできません。機械が行うのは紙をすく工程くらいで、例えば楮(こうぞ)を打つ現場でも、人がつきっきりで作業しています。機械化は行っていますが、和紙づくりには、やはり人の手が欠かせないのです」。

手作業によるごみ処理

▲熟達した職人によるごみ処理。質の良い和紙づくりのために重要な工程です

 

環境にも配慮しながら
再び和紙を、日常生活のなかに

和紙というと、私たちは歴史や伝統ある紙、というイメージを真っ先に抱きがちです。しかし、江戸時代や1960年代のタイプライター全盛期に、和紙は生活のなかに根付いていました。

今後の和紙の在り方について、内外典具帖紙の担当者はこう語ります。

「伝統産業が何千年も引き継がれているのは、それらがなくてはならないものだからです。なぜ、和紙や漆喰が高く評価されるのか。それは、長い歴史のなかで、職人たちが日用品としての使い勝手の良さや美しさを追求して磨きあげてきたからこそではないでしょうか。伝統とは、ただ単につなぐためのものではなく、後世まで続いていくような土台を固めた結果こそが、伝統だと考えています。その土台を崩さずに、いまの時代に合ったものに更新していく必要があるはずです。例えば、南部鉄器はフライパンとして、西陣織はキャラクターものの御朱印帳として、いまも多くの人から愛されています。私たちもいまの時代に喜んでもらえる商品、使ってもらえる商品をお届けしていきたいと思っています」。

内外典具帖紙 商品集合写真

▲内外典具帖紙の商品は、人々の暮らしになじみつつ、上質感や遊び心をプラスしてくれます

また、内外典具帖紙が力を入れていることのひとつに、環境への配慮があります。

「当社は高知SDGs推進企業に登録しています。環境配慮やエネルギー消費を抑えた製造への取り組みを進めており、規格外の和紙を用いた商品づくりなどを行っています。一社ができることは微々たるものかもしれませんが、多くの企業が取り組むようになれば、自然環境への負荷を少しずつ減らしていけると考えています」。

SDGs商品

▲規格外の和紙を使用した一筆箋、メモ帳、レターセット

「和紙の魅力を、より多くの人に広げたい」。その想いとともに、内外典具帖紙は、人の役に立てるもの、使いやすく、遊び心をくすぐる和紙製品を、これからも日常のなかに送り出していきます。

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