果実や野菜の自然な味わいを楽しめる「順造選」。今回は同ブランドの深いこだわりと、そのコンセプトが詰まった逸品「濃紅(コク)みつキャロットすりおろしポタージュ」をご紹介します。
純粋においしいものを届けたい生産者と、その想いを伝えたいブランド。両者が目指す“笑顔のストーリー”を知るべく、「順造選」を手がけるマルカイコーポレーション株式会社(以下、マルカイ)の矢野裕也さん、そして「濃紅みつキャロット」を育てた山上ファームの山上勝弘さんにお話を伺いました。
自然そのままの味わい
つないだ想いが感動を生む
「順造選」は1990年代のリリース以来、20年を超えるロングセラーブランドです。
名称の由来は、マルカイの前社長(現・会長)である松順造さんのお名前から。順造さんがたまたまレジャーで訪れた長野県で1本のリンゴジュースと出会い、おいしさに感動し、その場で頼み込んで取り扱いを始めたのが誕生のきっかけです。持ち前の好奇心と行動力でブランド立ち上げに至り、現在では多くのお客様に支持されるまでに成長しました。
「順造選」誕生のエピソードは、こちらの記事でも紹介しています。
「より自然のままの味にする。からだに優しい食品をつくる。」をブランドコンセプトとしていて、それぞれの商品は人工的な甘味料や着色料などの食品添加物不使用で作られています。順造さんやスタッフさんたちがいろいろな飲料や食品を試した中で、自分たちが本当に安心して飲めるもの、自信を持ってお届けできるものだけを厳選しているそうです。
そのコンセプトを守るために、「順造選」が意識していることが3つあります。
ひとつめは「想いをつなぐ」こと。
いかに生産者さん、製造者さんがその商品に情熱を注ぎ、こだわっているか。マルカイは販売者の立場として、それをしっかりとお客様に伝えることを大切にしています。
ふたつめは「感動する」こと。
手をかけ、時間をかけることではじめて感動は生まれるもの。商品開発においてもその精神が活きています。商品のストーリーやこだわりによって自分たちが感動するもの、それを形にして届けています。
みっつめは「楽しむ」こと。
強くこだわっている分、お客様や関係者からの支持が得られないこともしばしば。それでも自分たちが商品を信じて楽しみ、そしてしっかりと育てていくことを意識しています。
▲マルカイコーポレーション株式会社 会長 松順造さん
現在では一線を退きましたが、全ての商品は製品化される前に順造さん自らが品質チェックをしていたとのこと。ジュースについては、ラベルに書かれた商品名や文章も順造さんが書いています。広告・宣伝に費用をかけるのではなく、自分たちの想いを手紙のような感覚で表現し、お客様に届けたいという考えなのだそうです。
糖度1.8倍のにんじん
濃紅みつキャロット
今回はそんな「順造選」のコンセプトが詰まった、とっておきの商品「濃紅みつキャロットすりおろしポタージュ」をご紹介します。
このスープの主役となるにんじんは、徳島県海陽町の山上ファームで作られた「濃紅みつキャロット」を使用しています。
徳島県の南部にある海陽町は1,000メートルにおよぶ緑豊かな山々を水源とする清流に恵まれ、晴れの日は気温が上がる一方で、夜はエアコンがいらないくらい涼しくなる、寒暖差の大きいエリア。人気のサーフィンスポットがあるなど、とても自然豊かな場所です。
山上ファームの代表である山上勝弘さんは、お父さんの跡を継いで海陽町で20年以上にわたり農業を営んでいて、妻の由起さんと共にこだわりのにんじん「濃紅みつキャロット」を栽培しています。
「濃紅みつキャロット」の特徴は、濃い紅色とみつのような甘味。ネーミングもそこから来ています。糖度はなんと一般的なにんじんの約1.8倍もあり、ビタミンAやビタミンCも豊富に含まれています。
▲山上ファームの皆さん。ちなみに「濃紅みつキャロット」の名前やロゴは全て由起さんが作られたそうです。
「濃紅みつキャロット」を栽培するのは、非常に労力がかかります。
水は平成の名水百選にも選ばれた清流 海部川の伏流水を使用していますが、この水の管理がまず大変です。海陽町の土は水はけが悪いうえに雨が多く、いちど雨が降ると土がなかなか乾きません。土の水分量が増えると糖度が上がらず味はぼやけてしまい、おいしいにんじんは育ちません。
必要以上の水分を防ぐために畑をビニールハウスで囲っていますが、雨が多ければ土の中の水分は増えてしまいます。日中は温暖なためハウス内の温度が上がってしまい、にんじんが傷んでしまうリスクもあります。
丁寧な土上げ(土を耕して酸素量や水分量を調整すること)が欠かせなかったり、細かくハウスの開閉を調整したりと、とにかく手間がかかります。
人が前かがみにならないと入れない小さめのハウスをあえて採用しているのですが、それは海陽町では都会の台風並みの強風が日常茶飯事だからです。作業性を犠牲にしても、にんじんを守るためには仕方がありません。
他にも土に有機質を混ぜて発酵させたり、肥料の製造工程において野菜にダメージを与える薬剤が使われていないか細かく追及したりと、栽培におけるこだわりは無数に挙げられます。
そうして極限まで糖度を上げ、味わいを高めているのです。
▲おいしいにんじんを栽培するため、あらゆる面において妥協はありません
おいしくて安心安全なにんじんのために、科学的なアプローチにも積極的です。土の中の微生物の数や栄養素を調べたり、「こういう肥料を使ったら、こういうにんじんの味になる」といったデータを長年採取し続けています。その数値をもとに、次回の栽培時に改善を重ねます。
残留農薬・セシウムなどの物質もくまなく調査して、安全性が担保されたものだけを出荷しています。土づくり・肥料・栽培方法は徳島県の「とくしまあんあんGAP」優秀認定を取得しています。
そんな山上夫妻の愛情たっぷりに育てられた「濃紅みつキャロット」を多くの人に味わってもらうため、二人はお父さんの代から付き合いのあるお取引先を大事にしつつ、飛び込みで新規の卸先を開拓。現在では青果専門店や百貨店などに並び、高品質な野菜を求めるお客様に愛されています。
決して安売りはせず、価格も自分たちで決めていますが、それでも利益はほとんどないそうです。
「食べてくれる人の笑顔が全て。それ以外にない」と勝弘さんは語ります。
このような非常に手間のかかる農法を選ぶくらいなら、もっと効率的なやり方はいくらでもあるでしょう。それでも続けているのは、お客様の声があるから。収穫を待ってくれているファンのために、山上夫妻は「濃紅みつキャロット」を作り続けているのです。
▲本当においしいものを求めるお客様から支持される「濃紅みつキャロット」
さて、そんな「濃紅みつキャロット」ですが、収穫された分が全て市場に出荷されるわけではありません。日本では形の悪い農作物は売り物にならず、廃棄されてしまうという慣習があるからです。
由起さんはアメリカ暮らしが長く、「味は同じなのに、苦労して育てたにんじんをなぜ捨ててしまうの?」と疑問を抱いたそうです。
形がダメなら、形を変えるしかありません。二足のわらじは本当に厳しいですが、野菜を廃棄せず有効活用するために、山上ファームではドレッシングをはじめとする加工品の製造にも取り組んでいます。今回紹介するポタージュスープもその一環で、かつて由起さんが家族のために作ってくれたスープがルーツになっています。
濃厚な甘さとあらごし感
素材の味を楽しむスープ
山上夫妻の想いが込められた「濃紅みつキャロットすりおろしポタージュ」を試食してみましょう。
製造におけるポイントは、「濃紅みつキャロット」そのもののおいしさを活かして濃厚に仕上げること。化学調味料や動物性原料を一切使用していません。
パッケージは「順造選」伝統の文字数多めのデザインです。シンプルでスタイリッシュな雰囲気にすることも検討されましたが、矢野さんいわく「無理」だったとのこと。これほどの強い想いのバトンを受け取った身として、無機質な見た目にはとてもできなかったそうです。
▲「濃紅みつキャロットすりおろしポタージュ」1食160g入り。「濃紅みつキャロット」のロゴが切手のようになっていて、生産者・製造者から届いた手紙をイメージさせます
▲オリーブオイルで炒めた国産玉ねぎをブレンドした「濃紅みつキャロット&オニオンすりおろしポタージュ」もあります
▲おいしさをキープできるレトルトパウチ入りです
「濃紅みつキャロットすりおろしポタージュ」の味わいはにんじんそのもの。野菜をまるごと食べているような感覚ですが、特にその甘さに驚かされます。糖度の高さは圧倒的で、普通のにんじんとの違いが一瞬で分かります。
素材を前面に打ち出しながらも、にんじん独特のえぐみは抑えられていて、ダイレクトに素材の旨みが感じられます。粗めにすりおろしているので粒感も楽しめるポイント。「濃紅みつキャロット」を食べた人からは「にんじんが苦手でも食べられる」という声も寄せられるそうですが、これなら納得です。
▲ドロッとしていてスムージーのよう。“食感”も楽しめるスープです
▲そのままでもおいしいですが、豆乳を加えるとさらにマイルドになります
一方で「濃紅みつキャロット&オニオンすりおろしポタージュ」は、にんじんの甘さを強調しつつもオニオンのコクが加わり、複雑味が増しています。前者がストレートに「濃紅みつキャロット」の味を堪能するためのもので、こちらはひとつの調理されたスープとして整っている印象です。
▲こちらもドロッと濃厚な仕上がりになっています
▲温めても冷製にしてもOK。どちらの商品も素材を活かしたシンプルな味わいなので、料理のソースの材料などにしても面白いでしょう
ワクワクを届けて
笑顔の輪が生まれる
勝弘さんはにんじんを栽培するだけでなく、学生に向けて第一次産業をビジネス化する方法を伝えるなど、後進の育成にも取り組んでいます。「順造選」では各地の生産者の想いをつなぐために、果実や野菜を使った商品ラインナップの拡充に取り組んでいます。
[山上由起さん・勝弘さんの想い → こだわりの栽培 → おいしさ → 笑顔 → 喜びの声が山上夫妻へ]
山上ファーム×順造選のプロジェクトを通じて、この幸せなサイクルを回し続けていきたいと矢野さんは語ります。
野菜を味わうだけで、しかも慣れ親しんだにんじんを食べるだけでワクワクする。これはなかなかできない体験です。両者の想いが詰まった「濃紅みつキャロットすりおろしポタージュ」で、多くの人たちが笑顔になることを願っています。
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